Linuxディストリビューションリリース前夜

土曜日, 4月 18th, 2009 | スタッフより, 新着記事

最近すっかり、オープンソースについての記事ばかりになってきた感のあるat-ez Pressですが、あまり気にせず、多種多様なオープンソースについて紹介していきたいと思います。

オープンソースとLinuxの間には、切っても切れない関係があります。Linux自体がソースコード即ち「設計書」を公開しているオープンソースですので、当たり前と言えば当たり前なのですが…。

Linuxという単語は、MacやWindowsと同様に「デスクトップ環境その他までをも含めたOS(オペレーティングシステム)」として用いられる事が多いですが、本来のLinuxとはOSの中核部分である「カーネル」を指すものであり、厳密に言うとWindows XPやWindows Vistaとは若干意味合いが違います。

OSの基本機能を実装したソフトウェア。OSの中核部分として、アプリケーションソフトや周辺機器の監視、ディスクやメモリなどの資源の管理、割りこみ処理、プロセス間通信など、OSとしての基本機能を提供する。追加機能や周辺機器の制御ソフトウェア(ドライバ)などをモジュール化して、後から追加できるようになっている。

カーネルとは(IT用語辞典「e-words」より)

上記の説明をとても簡略化してしまうと、カーネルというのは「ファイルをハードディスクに保存してくれたり、モニタへの出力やキーボードの入力を管理してくれたりするもの」であり、要するにカーネルが無ければOSとは言えないけれど、カーネルだけではPCを様々な用途には使えない、という事です。

世界で最も普及しているMicrosoft社のOS「Windows」にも、当然カーネルは搭載されており、現在主流のWindows XPやWindows Vistaで利用されているのは「NTカーネル」と呼ばれるシリーズです(もう少し厳密な区分けもありますが、大まかには同じものです)。ですので、本来の意味から考えるとLinuxは「Linuxカーネル」と呼称されるものなのでしょうが、便宜的にWindowsやMacと対比する「Linux」という使われ方が一般的のように思います。

さて、それだけでは様々な用途に使う事が出来ないと述べた「Linux(カーネル)」ですが、実際にはDELLのNetBookに搭載されて話題を呼んだり、前回の記事のように国家の公共施設に導入されたり、というのは説明が無くては混乱してしまうかもしれません。

Windowsなどと対比して利用される場合の「Linux」は、実際には「Linuxディストリビューション」の事を指しています。

Linuxディストリビューションとは、Linuxを、一般利用者が導入(インストール)したり、利用できる形にまとめ上げたもの(頒布形態)。

Linuxディストリビューション(「Wikipedia」より)

先ほどのカーネルの説明と違い、今度は簡単すぎるので少し補足しておきますと、単体では様々な用途に対応していないLinuxカーネルに、用途に応じた様々なソフト(ウィンドウを管理する「X Window system」と呼ばれるものや、インターネット等との接続を管理する「NetworkManager」等)をパッケージングしてインストール出来るようにしたものを「Linuxディストリビューション」と呼びます。手元のPCに「Linuxカーネル」ではなく「Linuxディストリビューション(Linuxカーネルもこの中に含まれています)」をインストールする事で、WindowsやMacのように気軽にインターネットを楽しんだり、オフィスソフトで文書や表計算を行ったりする事が出来るようになります。

この「Linuxディストリビューション」は有償・無償を含め、それこそ星の数ほど存在します(技術があってライセンスさえ守れば、自分のオリジナルを公開する事も可能です)が、現在有名かつ人気のあるLinuxディストリビューションを整理していくと、大体以下の2系統に絞られてきます。

  • Debian系
  • Red Hat系

この2系統は、「パッケージ管理システム」と呼ばれるものにどのようなシステムを用いているのかによって区別されています(パッケージ管理システムについては、機会を改めて紹介したいと思います)。先述のように、この大きな2系統の下に多数のLinuxディストリビューションが存在しています。

これらのLinuxディストリビューションは、独自の開発コミュニティを持ち、それぞれのペースで開発が進むため、WindowsやMacに比べて短期間で新バージョンがリリースされます。

ここからがやっと本題なのですが、各ディストリビューションには「個性」と呼べるようなものがあり、その個性によって独自性を出し、そこにある種の「ファン」のようなユーザーが集まっています。

例えば、Debian系ディストリビューションの「Debian GNU/Linux」は100%フリーなソフトウェアだけをパッケージングする事を理念としており、保守的ながらも挙動の安定性の高さが人気です。

また、Red Hat系ディストリビューションの「Fedora」は先進性が魅力であり、各種ソフトウェアの最新版を積極的に採用しますが、反面安定性には欠ける側面があります。しかしながら、最新の環境にいち早く触れられる、という事で高い人気を誇っています。

こういった、各ディストリビューションに愛着を持つLinuxファンにとって、最新版のリリースは一種の「お祭り」であり、正式版リリースの予定や日程が決まると、各種コミュニティ(mixiのコミュニティや2ちゃんねるのスレッド・Linuxファンのブログ等)は画面を通しても分かるほどの熱気を帯びてきます。

さらに、最新版は各ディストリビューションの公式サイトやミラーサイトで配布され、FTPやP2PによってダウンロードしたものをCD/DVDといったメディアに記録する方式が一般的ですので、正式版リリースの報が流れるや否や「現在○○%ダウンロード中」「メディアに記録してインストール中」といった実況速報のようなコメントや、最新版のログイン画面・スタート画面のキャプチャ、早速最新版の新機能を試した感想等が、どんどん情報として発信されるのを見ていると、その熱気にいつしか巻き込まれ、気分が高揚してくるのが分かります。

今月初日には、at-ez Pressでも以前紹介したLinuxディストリビューション「CentOS」の最新版である「CentOS5.3」がリリースされました。また、来たる今月23日には、現在Linuxディストリビューションの中で圧倒的な人気を誇っている「Ubuntu」の最新版である「Ubuntu9.04」がリリースを控えています。「Ubuntu」同様、半年に1度のサイクルでリリースされる「Fedora」の最新版「Fedora11」は5月末にリリースされる予定です。

オープンソースであるという利点を活かし、多種多様な個性を持つLinuxディストリビューション。間近に迫ったGWに、1つ導入してみるのも面白いかもしれません。

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